-とあるエース候補のクリスマス2014-




「1年はミニスカサンタのコスプレな」
「生足でな」
「」

年に1度の聖なる夜。青心寮の食堂の窓からは調子外れなクリスマスソングの合唱と笑い声、大分昔のOB世代から受け継がれた古いプラスチックカラーの電飾の光が賑やかに漏れていた。
パーティーグッズでコスプレをする者もいてノリはすっかり宴会だ。
酒が入らなくてもテンションが上がりきるのが体育会系男子の微笑ましい所である。

「おーい1年、コーラ接げよ」
「ケーキとりわけろー」
「あ、はーい!!」
「栄純くん、大股で歩くとパンツ見えるよ!」
「もう見えてる」
宴会状態の中でも体育会系カースト最下位で先輩方の給仕に廻る1年だけは緊張した面持ち…というよりは羞恥プレイ状態だった。

明らかに女の子用のミニスカサンタのコスプレ。ちょっと給仕で前のめりになれば見えてしまいそうな衣装を着ることになって、1年生レギュラー沢村栄純、小湊春市は涙目状態でパーティー会場を駆け回っていた。降谷暁もなのだが…そんなことよりクリスマスパーティーというものに参加できてなんだか嬉しそうだ…

「うわあああ足がスースーする!!!なんで俺らがこんな格好しなきゃなんねーんだよ!!!」
「仕方ないよ、現主将と前主将の御達示だもん…」
「3年生も参加できて良かったね」
「降谷、おめぇは…」
「おーい沢村ーこっちこっち」
「あー!御幸一也!!」

ツリーの下で1人集団から離れてバラしたチキンをつつきながら手招きする姿に、栄純はドカドカと足音も乱暴に詰め寄った。
「ほら、接げよ」
「うわ、お、おう…」
文句の一つも言い出す前にミネラルウォーターの瓶を押し付けられ思わず言われるがままにコップに水を注ぐ。
机に肘をついたままその様子をニヤニヤと眺めると…スッとスカートの下から水を注ごうとまえのめりになって突き出された尻を撫でた。
「うわぁっっっ」
「エロい格好」
「お前が指定したんだろ御幸!!!」
「先輩な、せ・ん・ぱ・い」
「…!…御幸先輩は皆と飲まないんですか」
ミネラルウォーターの瓶を抱えたまま、ふて腐れたように栄純が問う。
「あっちに居ると食い過ぎちまうからな。ここでお前らがわたわたしてるの見てる方が楽しい」
「悪趣味な上に協調性ないっすね…主将なのにぼっちとか」
「言ったなコイツ」
少し動いた眉根と目を眼鏡の反射が隠す。席を立つと、引き上げるように栄純のサンタコスチュームの腕を引いて、ツリーと壁の隙間に連れ込む。

「な、なんすか…」
「お前、パンツ脱げ」
「はああ?!!」
壁に押し付けられ、栄純が真っ赤になって声を上げる。
「おっ、壁ドン」
「壁ドンして言うセリフか!!今でさえ恥ずかしーのになんで…」
「お前、俺の事好きなんだろ??」
壁に手を付き、真顔で覗き込む。思わず俯き目を逸らした栄純の顎をとるとそっと持ち上げ…軽く唇を合わせる。
「御幸せんぱ…」
頬を赤らめ呆然としている栄純を自分の体とツリーで隠しながら、もう一度深く口づけ…そっとスカートに手を入れ器用に足を潜らせ男ものの青いトランクスを抜き取る。
「可愛いぜ?栄純…」
「このエロ眼鏡…足が寒い…」
ようやく唇を解放し耳元で囁かれ、栄純は息を乱しながら少女のように身を縮こませた。

「おーい沢村ーケーキ切ってこーい」
「うがー」
わざわざ指名してくるのはやはりこの状況を面白がっている同室の先輩達だ。思わず肩がビクッと震えた。
「ほら倉持が呼んでるぞ。増子先輩には…1ホール持ってった方がいいんじゃね??」
意地悪く笑いながら背中を押され、栄純はふらふらと人混みに戻った。


愛想笑いが先程以上に固い。というより頬が真っ赤だ。
(屈んだら…見えちまう…)
先程以上に涼しくなった足元。なのに体の熱さがそれを感じさせない。恥ずかしくて仕方ないのに…チラリと部屋の隅の御幸を見ると、ニヤニヤしながらこちらを見ている。
「ぅぁ…っっ」
思わず声が漏れそうになって目を強くつむった。ぎこちない動きに合わせてコスチュームの裾のファーが…先端をくすぐる。
「は…ぁ…!!!」
(皆の前でこんな…すっげえ恥ずかしい…!!!恥ずかしい…のに…)
体の奥からどんどん溢れてくるような熱と、むきだしの雄にチラチラとふれる柔らかいファーの刺激…思わず自らの肩を抱けばパーティー衣装のゴワゴワとした生地が乳首を擦って、堪らなくなった。

「栄純くん、大丈夫?顔真っ赤だよ?」
「ああ、春っち。ゴメン俺ちょっと…」
虚ろに返して、フラフラと…ツリーに隠れたお一人様席に向かう。

「御幸…!なんか…俺…変になって…」
スカートの裾を抑えるようにして、泣きそうな顔で訴える。
チキンを運ぶフォークを置いてニヤニヤとその様子を眺めると…そっと後に廻した手で直の尻を撫でる。そして腰を辿るように前にも手を伸ばし…
「お前、ノーパンご奉仕で勃ってるのかよ?」
「し、しょうがねぇだろ…!!!すっげえ恥ずかしいのに…ファーが当たるんだよ…!!!」
「んで、俺にどうして欲しいんだ?」
意地悪く眼鏡の下の目を細められて、栄純は涙目になる。
「どうって…御幸にされた事でこうなってるんだから…御幸に言わなきゃって…」
「お前ってホントに馬鹿で可愛い奴だよな」
笑いながら席を立つと縮こまるミニスカサンタの手を引いて壁づたいに喧騒を離れ…なるべく音を立てずに食堂を出た。


食堂を通路づたいに出て、屋内練習場との合間の暗がりに出る。
窓からは相変わらず賑やかな声が漏れているが外は寒く、息が白くなった。
部員は皆食堂に集まっているので、ガラス1枚隔てたこちらには人気はない。

窓からこぼれる滲んだ電飾の光に照らされながら、二人は口づけた。息は白いが体は熱く、スカートの下の雄も形を保っていた。
「はぁっ、はぁっ、み、御幸…ぃ…」
窓の横の壁に栄純を押し付け後からスカートの下に手を入れ扱いてやると、固さと熱を増し濡れた音をたてはじめる。
たまらずのけ反り背中を擦りつけるようにくねらせると、御幸が体を押し付け、肩に顎をかけて耳元で囁く。
「すっげえ興奮してんじゃん。そんなに良かったか?ミニスカサンタでご奉仕」
「だ、だからファーが…!!!あっ…!!」
涙目の抗議はすぼまりをつつき、侵入してきた指に阻まれる。
「お前真っ赤だったし挙動不審だったからな、倉持位にははいてないのバレたかもな…?」
「そ…そんな…や…あ、ああっ」
指を二本に増やし内側から前立腺を刺激してやると、抗議の強い眼差しがたちまち熱をもち潤んだ瞳に変わり、甘えるような喘ぎを漏らす。
「お、お前が変な事させるから…っ!!!」
「でも可愛いかったぜ?」
「ぅ…」
赤みが更に増した頬に口づけると、御幸は自分のズボンに手をかけ…栄純の体を壁に押し付けた。尻の間に熱くて固いものを感じて、栄純はきゅっと目を閉じた。
まだ窓越しにパーティーの喧騒と虹色の電飾の光が暗がりの2人を鈍く照らしていた。

「はっ…ああああああっ!!!」
侵入してくる熱い感触に、思わず声を上げてのけ反った。
開かれた目と口からは押し出されるように涙と唾液がこぼれ、にじむ電飾のカラーに照らされた顔を汚す。
肩と腰を抑え、ぐ、ぐ、と推し進めると途中で内壁をぐりぐりと擦る。
「ぃ…ひぃ…ッッッ」
「ここ、良いだろ…」
サンタの衣装のごしに胸をなでると、ファーが乳首に触れて甘い声が出た。
細かい反応を楽しむように眼鏡の下の目を細めると、上唇を嘗め、内壁のわずかなしこりを擦るように腰をうごめかせる。
「そろそろ…いいよな?」
壁に手をついて融けた表情で喘ぐ栄純に後から耳に口づけ、囁くと…手を栄純の腰に当て、一気に激しく突き上げた。
「あっ、あっあっあっ、や、も、気持ちいぃ、気持ひよすぎて…イっちま、ぁう…!!!」
ファーの刺激を求めるように自ら上体を震わせ、御幸の腰使いに合わせて腰をくねらせる。
「イイぜ…沢村、このまま…」
「っあん、あ、あぁあん、御幸…せんぱ…御幸先輩…ぃ…っ、あ、あん、ああぁぁああ!!!」
汗で張り付いた前髪を振り払うようにのけ反ったと同時に、頭が真っ白になる。
びゅく…びゅく…1テンポ遅れて下半身と下腹部の奥に生温い開放感とねっとりとした体液の感触…
後から耳に口づけられ、抱きしめられる。
虚な目を潤ませて唾液の零れた口をあけたまま息をついて、栄純はその感覚に酔った。

「ん…」
熱い余韻に酔っていた頬に、急に冷たい感覚が触れる。
見上げると、暗い夜空からチラチラと白い綿のようなものが舞い落りて来ていた。
「雪だ…んっ…」
「ホワイトクリスマスだな」
栄純の中から自身を引き抜き、手早く衣装をチェックする。
「あんま汚れてないな…沢村、お前このまま戻ってパーティーの手伝いの続きな」
「はあぁ?!!な、中にだって出されてるんだぜ?!まだ体中熱いし敏感になってるし、すぐ…」
「だから、漏らさないように気をつけろよ」
「この…鬼畜メガネ!!!絶対バレる!!!」
「バレたっていいじゃねーか」
半泣き状態の栄純の顎をとると強引に口づける。
「せっかくのクリスマスパーティーなんだから楽しまなきゃな」
「うう…」
手を取られ、ヨロヨロと歩き出す。
なお、栄純が頑張るまでもなく二人が抜け出していた事はカンのいい小湊亮介や倉持には気づかれており、戻った途端に第2ラウンドが始まってしまうのだった…

聖夜の宴はまだ始まったばかり。



2014年12月30日   Przm Star